冷めたマグカップ
触れた指先 まだ覚えてる
狭い部屋の隅
丸めた夢が 息をしてる
笑った写真も
裏返したまま 見ないふりで
言えなかったこと
胸の奥でだけ 何度も叫ぶ
どうしてだろう あなたの影
消したいのに 滲んでゆく
飲み込めない たった一言
「行かないで」が 喉につかえた
ガラスの心臓 ひびだらけでも
まだあなたの名前で 動き出す
終わったはずの 物語なのに
同じページを 血をにじませてめくる
助けてなんて 言えないまま
自分で自分を 締めつけてく
壊れてしまえ そう願うたびに
あなたじゃなきゃ 駄目だと気づいてしまう (ああ)
目覚ましの音
あなたの声に よく似ていて
止めるたび少し
昨日の続き 夢に探す
新しい靴も
玄関でまだ 歩き方待ち
前に進むふり
足首あたりで 鎖が笑う
ガラスの心臓 拾い集めて
掌の上でまた 傷をつける
幸せだった あの日の景色が
瞼の裏で 色を変えず焼きつく
忘れたいのに 忘れられない
叫び声さえ 声にならない
救われたいと 空に縋っても
届く名前は ひとつだけなんだ (ねえ)
もしも最初から 出会わなければ
楽に息さえ できたのかな
それでもあなたを 知らない世界に
戻される方が 怖かったんだ
ガラスの心臓 粉々でいい
この痛みごと 抱きしめていたい
希望なんて もう見えなくても
あなたを愛した 事実だけが灯る
終わらせたいよ 終われないまま
未来と過去が 引き裂き合う
泣き叫んでも 変わらないなら
最後の一滴まで あなたでいたい (ああ)
静かに落ちてく
胸の奥でまだ 音を立てて
割れた破片さえ
あなただけ映して 眠れないまま